創感染率について

創感染率について~湿潤治療は従来の慣習に比べ感染率低下!~

 消毒しなくてバイ菌に感染しないの~?って疑問に思う方は多いと思います。医療関係者の方からも「感染が怖くて消毒する」という声がよく聞かれます。私も最初は心配でした(笑)…しかし、その疑問は湿潤治療を実践するようになり、すぐに吹っ飛びました(笑)…湿潤治療をはじめて間もなく、感染例が少ない事に気がつきました。正しい治療法を行えば感染なんてしないんですね~!
 誰でも正しい治療法を行えば一目瞭然の事なんですが、医学の世界では「誰がそんな事言った?」「データは?」「有意差は?」って、とにかく過去の引用と統計を強要されるんです。過去の引用って難しいですよね!?誰も言ってなければ何もありませんから(笑)…その論理でいけば、全く新しい事は医学の世界で受け入れられなくなる!?とも取れますから…それって恐ろしいですよね?医学は進歩し得ませんから…
 まあ反発ばかりしていてはいけませんので、とりあえず郷に入れば郷に従えってんでデータを集計する事にしました。以下に当時勤務地であった△×市民病院でのデータを示します。327名のカルテを1人で読み返すのにはさすがに骨が折れました(;^_^A アセアセ…ホントはもっと大量なデータが必要なんでしょうが、日常業務をこなしながら院内全てのカルテを私1人でひっくり返すのはさすがに無理です。この辺で御勘弁を(;^_^A アセアセ…
 この内容については2004年6月19日、第196回整形外科集談会東海地方会で発表してきました。

 さて、従来の慣習(消毒してガーゼ当てた)を行った患者さん、つまり湿潤治療を始める前の患者さん147名、湿潤治療を始めてしばらくして方法が確立した後の同じ時期(双方とも3ヶ月間)の患者さん180名を対象にしました。
 全体の中で感染例は従来の慣習では2名1.36%、湿潤治療では1名0.56%でした。この湿潤治療での感染1例はひどい指先の挫滅創で、なんとか元に戻してあげたいと処置に当たった先生は外れかかった爪を元に戻したんです。こういう患者さんは時々爪の裏に感染してしまいます。案の定この患者さんも感染してしまい、爪を取っちゃう事ですぐに感染は治癒しました(消毒はしてませんよ!爪を除去して洗っただけです!)。

 余談→こういう例は結構あります。外れた爪を戻す場合は注意が必要です!特にひどいケガでは先端の骨も折れてたりしますが、そういう場合爪は良い固定材料になりますので戻せる場合戻すんですよね~(^^;; ひどいケガで爪を元に戻す場合、爪に穴を開けて爪の下に血がたまらないようにしましょう!さすれば感染率はさらに下がると思います。

 発表ではこの中からキズの条件を近似させるため除外項目を設け、擦過創と皮膚欠損創に分けて治癒期間・感染率を出しました。

 平均治癒期間は上記の如く湿潤治療の方が若干短くなりました。全然変わんないじゃ~ん!って言わないでくださいね!このデータにはそもそも無理がありますので(;^_^Aアセアセ…
 ○△市民病院では従来の慣習で消毒してガーゼを当てていた時代、傷口が乾いたら終了にしていました。どういうことかお分かり頂けるでしょうか?カサブタが出来たら終了なんです…そう!カサブタの下で上皮化してようがしてなかろうが終了になっていたんですね~…(;^_^A アセアセ…そして湿潤治療は完全に上皮化して終了することがほとんどなので、双方のゴール設定が違うんです。
 もしカサブタが取れて完全に治るまでを診ていたら、従来の慣習での治癒期間はさらに1週間から2週間程長くなると思われます。しかし、そこまで病院に来てね!なんて言えませんしね~…。おまけにもっと正確なデータは今更取れませんし…消毒ガーゼなんて傷害行為は今更できませんので!(笑)
 で、感染例はやはり閉鎖療法の方が低く、従来の慣習では1名4.76%、湿潤治療では0名0%でした!…数字だと分かりにくいですが、実際には体感出来るほどの違いがあります!

 さて、過去に報告例はないかな~?と思い色々調べてみたら、ナント!出てきました!あるもんですね~~~(* ̄ρ ̄)”ほほぅ…
 私が発見し得た最初の報告は1989年のハッチンソン先生のお話です。そしてもう一つはハーマンス先生のお話。どちらもガーゼを当てるより湿潤治療を行った方が感染率が低下すると述べています。他にもチラホラと報告例はあるんですが、このあたりで(;^_^Aアセアセ…興味のある方はもっと調べてみてください。

 次のデータは衝撃的です!
こんなデータが今まで埋もれていたなんて…w(゜o゜)w オオー!

 このグラフ見て分かりますかね?横軸はケガしてからの日数、縦軸がキズの治癒率です。グラフを見て頂くとグラフが左にあるほど早く治り、右にあるほど治るのが遅い!というのは分かりますよね!?…で内訳を見てびっくり!左の方にある「デュオアクティブドレッシング」「ポリウレタン粘着フィルム」というのはいわゆる湿潤治療です。さすが早いですね!そして次に右側にあるのが「無処理」…いわゆる何もしないでほっといた…という場合です。そして次が問題!一番右にあるのはガーゼを当てた場合!…グラフが一番右にあるという事は一番治るのが遅いって事です!…何もしないより悪いんですよ!…このデータは衝撃的ですよね~!今までの「消毒してガーゼ当てる」慣習は「何もせずほっとく」よりキズの治りが遅いんです。医者も一般の方も、とにかく従来の慣習というだけで、この「最も遅く治る治療法」を行ってきたんですよ!そして恐ろしいことに、この話は1982年にすでに言われているんです!この話が言われて20年以上…人類は何をやってきたんでしょうね~(;^_^A アセアセ…

 何もしないで放置するより遅い治療法=キズにガーゼを当てる…こんな事をやるのって問題ないですかね?色々分かってくるうちに、私はキズに消毒塗ってガーゼを当てるのは医療の名を借りた傷害行為!犯罪!とまで思うようになりました。皆様はどうお考えですか?

 余談ですが、湿潤治療の話をするときにいつも出る問題!医療関係者から必ずといってよい程出る質問が「儲からなくなる。患者さんが来なくなる。」です。空いた口がふさがらないですよね!?毎日キズの消毒に通院させる病院は確かに儲けが減ります。キズが早く治りますし、被覆材の交換はキズの状態にもよりますが初期を除き基本的に数日に1回で十分ですから!しかし「儲けが減るから」という理由で毎日通院させてキズを消毒するのはいかがなもんでしょうかね?何が正しいのか考えて欲しいものです。。。

 もう一つおまけに…、ガーゼを当てて外界からの雑菌を遮断できるか?…これまた問題で、いわゆる被覆材1枚と同等のバイ菌遮断効果を得るためには、ガーゼを64枚以上重ねないとダメなんだそうです!バイ菌が付いたら心配だからガーゼを当てる!と言う方は64枚以上重ねて下さいね!…ちょっと凄いことになりそうですよね!(笑) 下の写真を参照してください。外界からの雑菌遮断には、ガーゼならこんなに分厚くなります(;^_^A アセアセ…

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