なおくんのひとり言

「骨盤が曲がっている」…よく聞く殺し文句です…

骨盤は腰椎につながっている後ろの部分の「仙骨」と左右の「腸骨」の3個の骨が輪になって、骨盤輪を形成しており、それぞれの骨は①仙腸関節・②恥骨結合でかなり頑丈につながっています。

どれくらい頑丈か…イメージしにくいですが、温泉などに行くと置いてある「木桶」や「樽」を想像すればよいかなと思います。桶や樽は木の板を丸く並べて、周りからリングで固定しています。この木の板にあたる部分が仙骨・腸骨（骨）で、リングにあたる部分が仙腸関節・恥骨結合（じん帯）にあたります。

「桶」や「樽」って簡単に曲がりますかゆがみますか…曲がりませんよねゆがみませんよね

骨盤がゆがむのは、女性が子どもを産むときでしょうか…恥骨結合がゆるんで骨盤輪のなかを子どもが通って産まれてくる時…お産の前後は一時的に骨盤輪がゆるむことによって、骨盤がゆがむこともあり得ます。しかしレントゲンでみても認識できるほどではありません。当然外見から「曲がっている」「ゆがんでいる」な～んてわかりません。

その他に骨盤輪がゆがむのは…高所からの転落事故…骨盤骨折をして（そればかりでなくあちこち骨折していたりして）、救急車で運ばれるような激しいケガ…時には命も危険な状態に…そんな激しいケガの時には骨盤がゆがむかもしれません。

骨盤がゆがんでいる・骨盤が曲がっている…な～んていう言葉…あおりたてて恐怖に陥れ、施術と称する行為を受けさせるための、言葉のマジックでしかありません

では、正確には…何らかの要因によって姿勢が悪くなって、姿勢のバランスをとるために、結果として外観上骨盤が傾いて見える…といえます。これをあたかもそれが原因かのように「骨盤が曲がっている」な～んて言われてしまう…

骨盤は曲がりませんしゆがみません…原因ではありません…

正確には、何らかの要因の結果、体の軸に対し骨盤が傾いて見える…つまり結果です…

例えば腰痛を例にとっていえば、腰の痛みのために筋肉が緊張したり、痛みを緩和するために楽な姿勢をとろうと傾いた姿勢になって腰椎が曲がります。それに伴い体のバランスをとるために骨盤は代償性に傾きます。原因ではなく結果です

なのに、「骨盤が曲がっていると言われた…」「骨盤が曲がっているから…」…よく聞く言葉です。皆、骨盤が曲がっているからダメなんだと、骨盤が曲がっていることが原因であるかの如くお話します。そして施術と称する行為を漫然と受ける…

原因はどうなってるんでしょうかね…不思議だ～…

仮に椎間板ヘルニアなどが原因だった場合、施術といわれる行為を漫然と受けているうちに足が動かなくなって麻痺してしまい、そのまま一生動かない…ということもあり得ます。実際にそんなことになってしまった方に出会ったことがあります。…骨盤が傾いているのを、あたかも原因かの如くあおり立て、施術と称して骨盤の傾きを矯正する…そうすると結果的に、ヘルニアから逃れるために代償性に傾いていた腰椎に負担をかけてしまい、ヘルニアが悪化する…当たり前の結果です

また、腰が痛くて行ってみたら「骨盤が曲がっている」と言われて施術と称する行為を受けていて、治らないから病院に受診したらガンが腰骨に転移していた…そんな方にも出会ったことがあります。「骨盤が傾いている」という結果を原因として認識して、施術と称する行為を漫然と行う……当たり前の結果です

「骨盤が曲がっている」…という呪文には十分ご注意を…