なおくんのひとり言

最近、米国では栄養ドリンクの安全性に対する議論がトピックスだそうです。Steven E. Lipshultz氏らマイアミ大学の研究チームがこの問題を調査し、結果をPediatrics2月14日オンライン版に発表。

一般的な栄養ドリンクにはカフェイン，タウリン，ビタミン類，ハーブ系サプリメント類，砂糖あるいは甘味料など色々な成分が含まれていますね。効能として、滋養強壮・栄養補給・ダイエット効果・運動能力向上など、色々なものがうたわれていますが、研究では。これらが治療的有効性が認められない上に、健康被害をきたす可能性があることを報告しています。

別の研究では、12〜14歳の28％・12〜17歳の31％・18〜24歳の34％が日常的に栄養ドリンクを飲用していると報告しています。また、大学生496人に行った調査では、そのうち51％が1カ月に2本以上の栄養ドリンクを飲んでおり、その大多数が、睡眠不足解消や活力増進を理由に、1週間に何本も習慣的に飲んでいるそうです。

…米国の話ではありますが、未成年の30％が栄養ドリンク飲んでいるってのはちょっと驚きね…しかし日本でもこれくらいは飲んでいる未成年いるような気がします…

栄養ドリンクを飲むことで精神的敏捷性や反応時間短縮、集中力上昇などの効果が表れたという、成人を対象にした研究も、同氏らは紹介しています。確かに原料の1つであるカフェインには集中力を高める効果があるとされる一方で、子供が日常的に摂取すれば血圧を上昇させたり、睡眠障害を引き起こしたりすることもあるので注意が必要です。

個々の原料にはさまざまな治療的有用性がいわれている成分も、使い方によっては悪影響もあるようです。例えば同氏らは、15人の健康な若年成人に7日間、毎日500mLの栄養ドリンクを飲用させたある実験を引用、それによれば収縮期血圧が平均9〜10mmHg上昇、心拍数が毎分5〜7拍上昇する状態が飲用後4時間続いたとのこと。

これまで米国中毒情報センター協会では栄養ドリンクが原因と考えられる調査が行われていなかったそうです。しかし、Lipshultz氏らが参照した数々の調査によれば、その可能性は否定できないとのこと。学齢児童における罹患率8〜16％の注意欠陥多動性障害（ADHD）の場合、心拍数や血圧を上昇させる可能性のある刺激薬を服用していることから、カフェインやタウリンを含む栄養ドリンクを飲用することでどのような作用があるかは未知数だそうです。

実際に2002年から調査しているドイツでは、肝臓障害，腎機能障害，呼吸器障害，発作，精神障害，横紋筋融解症，頻脈，高血圧，心不全，さらには死に至るまで、さまざまな健康被害が報告されているそうです。こうした状況などから、ドイツ国内の多くの州では世界的に有名な某栄養ドリンクの販売を禁じています。このほか、デンマークやトルコ、ウルグアイなどでも栄養ドリンク全般の販売禁止に踏み切っているそうです。そして米国でも、2008年に米国州立高校協会が水分補給には水もしくはスポーツ飲料を推奨し、栄養ドリンクは潜在的リスクを有することから不適切と呼びかけています。

最終的に今回のLipshultz氏らによる調査は、（1）栄養ドリンクには治療的有用性はなく、さまざまな原料が一部の子供の健康に悪影響を及ぼす可能性があることが示唆される。（2）概して栄養ドリンクには刺激特性を有するカフェインやタウリンなどが含まれるが、製造企業側が栄養補助製品であると主張しているため、炭酸飲料に課せられているカフェイン量制限や安全性試験などの義務から逃れている…などと結論付けています。さらに、子供や青年，若年成人における安全摂取量が確立されておらず、大量消費や医薬品との相互作用による健康被害に言及し、医療従事者が子供たちや家族に向けて飲用に関する教育を行うべきとしています。

滋養強壮系の栄養ドリンク…いろいろな研究結果を考慮すれば、すくなくとも未成年の方は飲まない方がいいようですね…そして、成人もその使用は控えた方がよい…ということでしょう…